ユングフラウの三山を西麓から仰ぎ見るグリンデルワルトに対し、大氷河が削り取ったラウターブルンネンのU字谷を挟んで東麓から三山を望むのがミューレン。この村から見る三山は、深いU字谷の底からせり上がり、ピークへ近づくにつれ天空へ鋭く突き出す大迫力の威容を呈する。その眺望は秩父宮などの皇族や多くの日本人登山家たちをも魅了してきた。
 このエリアのトップは、標高2971mのシルトホルン山。山頂の展望レストランは映画『女王陛下の007』の舞台として脚光を浴びた場所。1時間で360度回転する仕掛けのレストランから、三山をはじめとするアルプスの山岳パノラマが満喫できる。不規則ななコブが連続する斜面は、上級者オンリーのハードバーンだ。


 ロープウェイでシルトホルン山のピークへアプローチ。全長6967m、標高差2103mを上る34分間は、空中散歩を楽しんで。まずは展望レストラン「ピッツ・グロリア」で360度のアルプスのパノラマを眺め、一呼吸置くのもいいだろう。
 なだらかなスロープが主体のユングフラウ・リージョンにあって、険しい岩山からなるシルトホルンは貴重なモーグルバーンの名所。特に山頂からスタートするコースは、不規則なコブが連続する超ハードバーンだ。さらに幅の狭い岩場を下るカンダハーやカノンロールなどの難所続きで、息つく暇もない。事故を避けるための防護ネットは設置されているものの、ネットの向こうはいきなり落差300mの断崖という場所も。ほとんど自然の状態のままにされているゲレンデは、ワイルドなスリルを味わうには最高のステージと言えそう。とことん腕を磨いてから挑戦したい、最上級者限定のゲレンデだ。
映画女王陛下の007でお馴染みのシルトホルン山頂にある展望台。一時間で一回転するレストランはアルプス山塊がまとめて見渡せる絶景地
シルトホルン8合目のビルブ駅展望台。ここまでアップするとユングフラウの全貌が姿をあらわす


DATA
●シーズン 12月中旬〜3月下旬
●標高差 1320m
●最長滑走距離 約22km
●斜面構成 初級% 中級% 上級%
●リフト&ゴンドラ ロープウェイ1本 ケー  ブルカー2本 登山電車1本 リフト9本(T バーを含む)
●アクセス チューリッヒ空港から車で150km またはジュネーブ空港から車で200km
●お問合せ 0036/55-16-16

目の前に広がるユングフラウ三山。左からアイガー、メンヒ、ユングフラウ。

シルトホルン山頂直下からユングフラウに向かってダイナミックな滑降
シルトホルン山頂直下は、ちょっときつめのバーンが続く
シュテッヘルベルグ駅からシルトホルン山頂駅へ、全長6967m標高差2103mを結ぶロープウェイ。所要時間34分
まるでかまくらのようなスキー場の中の小さなスナック。雪のカウンターでショットでいこう