シャモニーの南方、イタリアと国境を接する超ビッグリゾート、ヴァル・ディゼール&ティーニュ。2つのスノーエリアは、総称して「エスパス・キリー(キリーの世界)」と呼ばれる。ヴァル・ディゼールはフランスのアルペン三冠王、ジャン・クロード・キリーのふるさと。ゲレンデには彼がデザインしたコースも数多く、その偉業を讃えてリゾートの愛称がつけられた。1992年にアルベールヴィル・オリンピックが開催されたことで、日本でも一躍ポピュラーなリゾートとなり、その後も毎年のワールドカップの開催などでスノースポーツファンの注目を集めている。
 世界中のスノーボーダー&スキーヤーを魅了してやまないのが、ゲレンデの10倍はあるという途方もない広さのオフピステ。またゲレンデも、ビギナーからエキスパートまで、氷河からダウンヒル、コブ斜面までどんな滑りも思いのままにできる懐の深さだ。100基以上のゴンドラ&リフトがフル稼動し、効率的なアプローチも可能。ロングステイが難しい日本のファンにはとてもありがたい条件が整ったリゾートなのだ。


 日本ならゲレンデの目玉になってしまいそうな2〜3kmのロングコースも、ここでは当たり前。手にしたコースマップで難易度を確かめるとともに、自分の体力も考えながらコースを回ろう。
 ヴァル・ディゼールは中世の面影を今に伝える伝統的リゾート。ソレーズ・エクスプレスを利用すれば、ベースタウンからゲレンデへダイレクトにアプローチできる。人気のコースが集まるのはベルヴァルド。エキスパート級の腕前を自負する人なら、オリンピックのダウンヒルコースにチャレンジするのもいい。山岳ガイドの付添いがあれば、最上部のピッサイア氷河へ。極上のパウダーを存分に味わえるこのエリアは、天候がよい日なら中級レベルでもOK。通年滑走可能で、夏でも多くのファンで賑わっている。中間部より上は森林限界を超えており、100%オープンなゲレンデからは見晴らしも抜群。想像を絶する広さをもつオフピステもとことん楽しみたい。
 ヴァル・ディゼールの北東に位置するティーニュは、歴史の新しいリゾート。近代的な施設が整い、小規模ながら快適な滑りが楽しめる。山麓のヴァルクラレの街から見上げると、正面にオリンピックのモーグルコースが。ベースからほとんど立木の見当たらない開放的なこのエリアでもっとも人気が高いのが、エスパス・キリーの最高地点にあるグランモット氷河。とにかく広い。そのスケール感に圧倒される。マッターホルンまで見渡せる眺望のよさもリゾート随一だ。
 グランモット氷河まで来たら、いざオフピステへ。ここはクレバスや雪崩など人の力では回避できない危険が待ち受ける真のネイチャーワールド。必ず山岳ガイドを伴って行こう。安全への配慮さえ怠らなければ、ここはパウダーパラダイス。痛快このうえない最高の滑走ステージとなる。

ヴァルクラレからグラン・モット氷河まで全長3400m標高差920mを一気に駆け上がるティーニュの地下鉄式登山電車の入り口


DATA
●シーズン 12月上旬〜5月上旬 
●標高 1500m〜3550m 
●標高差 2050m 
●総面積 約1000ha 
●総滑走距離 300km 
●コース数 126コース 
●斜面構成 初級30% 中級35% 上級25% エキスパート10% 
●リフト&ゴンドラ 登山電車2本 ロープウェイ4本 ゴンドラリフト10本 クワッド11本 トリプル19本 ペア18本 J/Tバー43本 
●1日券・2日券・3日券・7日券(エスパスキリー共通券) ●その他 スノーボード&モノスキーOK。ヘリツアー、託児施設あり。 
●お問合せ ツーリストオフィス ヴァル・ディゼール 0(33)79-06-06-60 ティーニュ 0(33)79-06-15-55

目の前にはフレンチアルプスの白い山並み。森林限界を超えた山岳ゾーンは遮るものなしんも銀世界だ
4基あるロープウェイも大活躍。登山電車からリフトまで、その数何と100基以上。この機動力が一流の証し
サラサラの粉雪を蹴って未踏のオフピステにシュプールを刻む。全山丸ごと自分ひとりだけの世界。
ゲレンデレストランの前は格好のランチスペース。パノラマ見物の特等席だ。
山麓駅のラ・ダイユから山頂駅までアップする最新式の登山電車。標高差800mを僅か5分で駆け上がる

これぞフランス流スキー術!目の前に広がる白銀の斜面全部が滑走可能エリア。